【番外編I】私と彼の非日常

 やぁ、こんにちは!ナオミです!今は諸々の理由で”マーロ共和国”って所におうちを貰ってダーくんとお手伝いさんのスノゥさんと一緒に暮らしてるんだ。いつも朝はダーくんとスノゥさんがキッチンにたってとっっっても美味しい朝ごはんを作ってくれるんだけど…朝起きると彼女は
「おはようございます。ご主人様。」
といつもの優しい雰囲気で出迎えてくれた。
「ご主人様じゃなくてナオミでいいんですよ〜?あれ?そういえばダーくんいないみたいですけど」
「いえいえ!ご主人様はご主人様ですから!ダーさんは何やら部屋で夜分遅くまで起きていられたようで‥…」
と言っていた。多分ダーくんは徹夜をしていたのだろう。スノゥさんの寝室はちょうどダーくんの錬金術研究部屋の真隣。だからよくわかるみたい。
了解!ありがとうございます〜!っとお礼をいい、今こうして『ダーくんおはようございます朝だよ!起きて!大作戦』を実行しようとしてるの!作戦内容?そんなものその場で決めればオッケーオッケー!とまぁそれは置いといて行ってみよう!そっと研究部屋のドアを開けると予想通り部屋にはたくさんの羊皮紙や分厚い本棚が所狭しと置かれていて、部屋の真ん中らへんに雪崩を起こしてできた大きな本たちの山ができていた。そしてその本の山の中から手がひょこっと出ている。またいつもの様に研究に熱中しすぎてそのまま寝落ちして埋まっているのだろう…全く手がかかる。でも手がかかるほど可愛いって言うし?なにせダーくんが好きなことに熱中できてるなら全然いい事だな〜って思う。
「ダーくん!朝だよ!起きて起きて〜!」
とりあえず声をかける。しかし返事はない。これは熟睡パターンだ。なら…っと第二作戦を実行する。隙間から出ている手を引っ張って山から出して起こす作戦だ。これなら確実に起きるでしょう!っと思いきや重くて抜けない。いつもならもっとすんなり抜けるのにおかしい。でも本が沢山乗っかってるだけかな?っと思い本をどんどん除けていく。でも予想外のことが起きた。
そこにはいつものダーくんでは無いダーくんがいた。

そう……大きかった。


ダーくんの身長が……大きくなっていた。


「な、ナオミ…ごめん…しくじっちゃった…」
そう言って気まずそうに身体を起こすダーくんを見て私は…
「ぎっ」
「ぎ?」



「ギャァァァァァァァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!」



多分今マーロの中で1番でっかい声を出していると自負できる。無我夢中で部屋から飛びだし、スノゥさんに飛びつき事情を話した。彼女は
「どうされたんですか!お、落ち着いてください!なんて言ってるかわかりません!しっかり人間の言葉を喋ってください!!」
どうやら私は驚きすぎて人間の言葉を喋ってなかったらしい。でも驚きすぎて喋れないんだから仕方がない。とりあえずわちゃわちゃしていると
「な、ナオミ!」
急に出ていった私を追いかけてダーくんがパタパタと部屋から出てきた。ダーくんをみて先程までさっぱりわからないという顔をしていたスノゥさんは私と一緒に


「うわぁぁぁぁぁぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!!!!!」



とこれまた先程よりでかい声であろう悲鳴をあげた。
そこからの記憶は曖昧で気がついた時には目の前にひっくり返るテーブルや水浸しになっている床。そしてびしょ濡れになったダーくんとひたすらすみません!と謝ってるスノゥさんがいた。もちろんダーくんは大きいままだった。私は夢か…と納得してそのまま目を閉じようとす…
「夢じゃないよ!現実逃避しないでよ〜!!」
と半べそをかくダーくんに起こされてしまった。これはしかたない。だってダーくんの泣く姿見たいじゃんっと思い、元気よく身体を起こすもやっぱり大きいダーくんをみて現実逃避をしたくなりまた目をつぶろうとする…のを何回も繰り返した。そしてやっと決心して起きた。
ダーくん曰く、今ダーくんは手軽に身長を自由に変えられる薬を作っているらしい。そのために自由に身体を変えられるエステルームというものを使い実験を行っていたそうだ。とっても便利だけどどういう原理で出来てるのかはわからない。エステルームの物体を少し削って解析しようとした。あと少しでできる!という所までいった…でもついムズムズしてくしゃみをしてしまったらしい。それで爆発が起きてこんな姿になったということだった。全くよくわからないしなんでスノゥさんはすやすや寝れてたのだろうと思ったが気づかなかったようだ。ぐっすり寝れることはいいことだね!うん。とりあえずわかったことはくしゃみで失敗したってことだけ。くしゃみで失敗するとか可愛いすぎかよ…失礼。そのあと試しにエステルームを使ったらしいけど戻すことが出来ないみたい。つまりしばらくはこのままってことになるらしい。
「まぁビックリはしたけど特に困ることは無いし、可愛いことにも変わらないしむしろ身長が高いダーくんってとっても新鮮だからいいと思います!」
「ええっ!?たしかに戻らないので仕方が無いのですが焦らなすぎなのではないでしょうか?ダーさんもそう思いますよね?」
「うーん…でもナオミがいいならいいか〜!」
「いえ〜い!」
「え、えぇ…」
とスノゥさんは呆れ半分に困惑してるがまぁ大丈夫だろう!ってことになった。
「とりあえず朝ごはん食べよ!!」
と私は一歩を踏み出した瞬間だった。ズルっと足がとられた。床が濡れていることにすっかり忘れていた。思わず目をつぶってくる衝撃に耐えようとした…が私が想像していた衝撃はいつまで経っても来なかった。あれ?っと思い目を開けると目の間にはダーくんがいた。ダーくんが手を掴んで抱きしめている状態だ。
「ま、間に合った…」
めちゃくちゃ顔が近い。いつもは私より低いダーくんだから見下ろしている感じだった。でも今は私より背が高い。そして顔もいつもより大人っぽく見たことの無いダーくんだった。鼓動が早くなる。やばい。ダーくんがかっこいい…かっこよすぎて顔が直接見れない。
「ナオミ?」
いつもと同じ声なはずなのに顔が見れない。あっのぞき込まないで!!だんだん顔が熱くなってくのがわかる。
「大丈夫?」
とダーくんが優しい手つきで頬を包み込みデコを付けて体温を図る。体温が伝わる。「っっ!!!!!!!」
年相応の身体付きになったダーくんの整った顔に耐えきれなくなった私は勢いよくぬるんっと抜け出し家を飛び出す。遠くでダーくんの私を呼ぶ声が聞こえるが無理!!!あんなことされたら心臓が持たない!これは早急に治さなきゃ私がキュン死しちゃう!!!そう思いながらマーロ共和国を全速力で走っていく私だった。

Naomi

ダーくんとナオミちゃんの物語をのんびり書いていきます。

0コメント

  • 1000 / 1000