いつの事だろう…僕は誰かと大切な約束をした。
『ねぇ○○くん、寂しい?』
『全然…とは言わないけど寂しくはないかな』
『えー?本当ー?○○くん寂しがり屋なのに?』
『うぐ…それは否定出来ないね…でも今は寂しくないのは本当なんだ。』
その”誰か”は全く思い出せない…
『どうして?』
『だって今までそうだったでしょ?君は必ず僕を見つけてくれたんだ。』
『まぁね!○○くんへの愛は誰にも負けないからね!』
『ふふっ!僕も○○○への愛なら負けないよ!』
姿も表情も声も名前もわからない…
『まぁ!○○くんたら!大胆/////』
『君の性格がうつっちゃったかもね?』
『なにそれ〜!悪口?』
『そんなことないよ!褒めたつもりだよ?』
『…・ふふっ!!もう○○くんたらっ!!』
『あはは〜!…あっ…』
『…どうやらもう時間がなさそうだね』
『そう…だね…』
全く大切な約束をしたのにその人を忘れるとは馬鹿にも程がある。これじゃあ会いに行くことすら出来ない
『なーに?やっぱり不安?』
『…うん不安。とっても不安だ。今こうして君がいるのにこれからいないって思うだけでとっても不安だ…』
『そっか…でもね?大丈夫!また絶対に会えるよ。必ず…見つけ出すからさ』
『ほんとう?また僕を…見つけてくれる?あの夜の時みたいに…あの…最初にあった時みたいに…僕を…見つけてくれる?』
もしその人が来ても気づくことすら出ないなんてほんとつくづく自分に呆れる
でも……
『もちろん!なんなら地の果てまで探し出すよ!』
『え〜?本当〜?』
『本当だよ!!なんだって私嘘は嫌いだからね!』
『ふふっ!そうだったね…』
『うん…だからさ!また絶対に…!』
『うん…!絶対に』
『『また一緒にいようね』』
不思議とまたすぐに会える気がするだ。
窓から差し込む光で目が覚める。ああ…またあの夢を見たのか。半覚醒状態の脳みそでぼーっと布団の1箇所を見つめる。不思議な夢は前からたまに見ていたが、ここ最近以前に増して見ることが増えた。でも不思議と起きるとその内容は忘れてしまう。でも夢は起きると内容を忘れてしまうよくあることだから仕方がない。ふいにもにゃもにゃと声が聞こえる。横を見ると気持ちよさそうにヨダレを垂らしながら寝ている僕の自慢のパートナー…いやナオミ・スプランシェがいた。ほっぺを少しつついてみるとむにゃーっと言ってむず痒そうに顔をむにゃむにゃさせてる。そんな顔が愛しくってたまらない。彼女の幸せそうな顔を見てよしっと一息を入れベッドから起き上がり部屋を出る。すると先に起きていたお手伝いさんのスノゥさんが
「おはようございます。ダーさん」
といつもの様に微笑みかけた。
「スノゥさんおはようございます。」
と僕も挨拶を返す。そして一緒に朝食の準備を始める。こんなにも穏やかな生活ができるとはつい数ヶ月前の僕は思っていなかっただろう。そう、ナオミとは長いように感じるが出会ってまだ1年も経っていない。それなのにこんなにも親しみを感じるのはきっとあの明るく真っ直ぐな彼女の性格からだろう。2人で準備をしていると階段から降りてくる足音が聞こえた。彼女が起きたのだろう。そしてきっと彼女はいつもの様にあの太陽のような笑顔でこういうのだろう
「ダーくん!おはよう〜!」
「ナオミ、おはよう」
「スノゥさんもおはようございます〜!」
「はい。おはようございます。ご主人様」
―そして彼らはいつもの様に挨拶を交わし、準備を終え食事を始める。日々この世の”悪”とされてる魔物達を討伐する冒険者である彼らにとって朝の穏やかな時間は唯一落ち着く時間なのだろう。できたての朝食をこの世でいちばん幸せ!と言わんばかりの笑顔で口に含む彼女を見て彼は…ダー・クライシスは心底幸せのような笑顔をしながら眺めている。今日も快晴だ。そんな2人を見守るかのように窓から暖かい日差しが降り注いでる。今日はどんなことが起きるのだろう。不安になる時もあるが彼女といれば大丈夫。2人なら…負けない。でも幸せは儚く、呆気なく散ってしまうものだから…今は精一杯この幸せを噛み締めよう。そう考えながら彼は作りたての朝食を口に運んだ。
この様子を見て貴方はきっと2人は最初から仲が良くずっとここまで来たと思うだろうか?だが彼らの出会いは今の姿からは想像もできない出会いだったとボクは思う。そうあれはただの偶然…本当にたまたまだった。そんな出会いからはじまった。
―そうこれからする”ハナシ”は彼ら…2人にとっての物語―
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