【別譚3】穏やかな日常

 いつもの様に僕は兄さん達と島の周りで遊ぶ。クラ姉さんはいろんな種類の花を教えてくれる。この島にはたくさんの花があって春になるととっても綺麗らしい。以前僕は姉さんに聞いたことがある。
「ねえさん、は、なんで、ボクに、おはなをおしえて、くれるの?」
すると姉さんは少し寂びそうに
「女の子はお花が好きでしょ?だから✕✕にもたくさん知って欲しいと思ってね」
「?ボク、は、オトコ、だよ?」
「…ほ、ほら!✕✕にもきっと好きなことかできるでしょ?だからその時に色々な花を知ってたらその子にプレゼントできるじゃない?」
「そ、っかー!」
それから姉さんは毎日お花を教えてくれている。ある日ご飯食べてる時に好きな人って誰だろう?僕にもできるのかな…?と聞いた。するとみんなむせていた。その後にお母さんに
「すきな、ひと、って、だれ?」
と聞いた。するとお母さんは
「うーん…そうねぇ〜その人とずっと一緒にいたいって思える人じゃないかしら?」
と教えてくれた
「そっ、かー…じゃ、あ!ぼくの!すきな、ひと、は!くらねえさん、と!くだにいさん、と!だいにいさん、と!おかあさん!だ、ね!」
するとみんな何故かにこやかな顔で僕の頭を撫でてくれた。よくわからなかったけど、撫でてもらえるのは嬉しかった。
クダ兄さんはいつも静かに木の下で”ホン”というものを読んでる。兄さんの方に行くと膝の上に乗っけて本を読んでくれる。内容は難しくってよくわからないけど兄さんの声は静かでとっても優しい声で僕は大好きだ。たまに僕でもわかる本を読んでくれる。”エホン”って言うらしい。兄さんはこの本は昔お父さんが持ってきてくれたらしい。僕はお父さんにあったことが無い。いつか会ってみたいな〜といったら兄さんは寂しそうに頭を撫でてくれた。兄さん曰く僕はお父さんにとても似ているそうだ。とっても嬉しかった。
そしてダイ兄さんはいつもいろんなことを教えてくれる。なんで空が青いかとかなんで木は緑なのかとか林檎はどうして美味しいのかとかたくさん聞くと全部答えてくれる。でも一つだけ教えてくれなかったことがあった。ある日僕は子供はどうすればできるの?と聞いた。すると兄さんは食べかけの林檎を噎せてしまった。あわあわしてると
「いいか…✕✕…それは今は知らなくていいんだぞ」
よくわからなかったけどきっと聞いちゃいけないことなんだと思った。だから
「わかっ、た」
と口を抑えて言った。よし!っといって兄さんはわしゃわしゃと頭を撫でてくれた。ボサボサになっちゃったけどとっても嬉しかった。
そしてお母さん。お母さんはいつも優しく僕を抱きしめてくれる。そしていい子いい子と言ってくれる。お母さんの声、体温全てが安心する。お母さんといると怖いことなんかすぐに忘れちゃう。この前だってとっても怖い夢を見たんだ。誰かに置いてかれて…ずっとひとりぼっちで寂しくてお腹すいて怖い夢…でも起きた時にお母さんが優しく撫でてくれると怖かったのが飛んでいっちゃう。あとお母さんにずっとくっついてると甘えん坊さんねっと笑って撫でてくれる。たくさんたくさん撫でてくれる。いい子だねって褒めてくれる。僕は家族が大好きだ!お話するのも一緒にいるのも楽しい。だからもっともっとお話をするのを上手くなってたくさんたくさん伝えるんだ。大好きって気持ちをありがとうって気持ちを。
この時はずっと一緒にいれると信じてた…信じて止まなかった。あれがくるまでは…

Naomi

ダーくんとナオミちゃんの物語をのんびり書いていきます。

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